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2021.05.06
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近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡③
近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡①
近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡②
③1689(元禄2)年:『おくのほそ道』の旅を終え9月、伊勢神宮式年遷宮を拝し、伊賀から奈良、京の落柿舎に入り、12月に大津蕉門の尚白邸・乙州(おとくに)宅を訪問し、義仲寺に滞在します。膳所蕉門の曲翠(きょくすい)邸を訪問、医師珍碩(ちんせき)の洒落堂(しゃらくどう)で越年します。
【奥の細道の旅中、大垣の斜嶺亭(しゃれいてい)における吟】
そのまゝよ 月もたのまじ 息吹やま
・句意:伊吹山はそのままでいいのだ。月の風情を頼む必要もない。
・句碑:米原市朝日1342 大原観音寺内
「そのまゝよ…」句碑
・大原観音寺:石田三成と羽柴秀吉の出会いの地とされ、寺の小僧だった三成が、鷹狩で立寄った秀吉に三椀の才で茶を献じて見出された「三献の茶」の逸話が残されています。また本堂、鐘楼、惣門が重要文化財で、石田三成水汲みの井戸が残ります。
大原観音寺本堂
【奥の細道の旅中、加賀山中の那谷寺で灰白色の奇岩を見て吟】
石山の 石にたばしる あられ哉
・句意:石山寺の白い石の上に、霰が激しく当たって四方に飛び散っている。
・句碑:大津市石山寺1-1 門前の駐車場
「石山の…」句碑
・たばしる:粒そのままの小豆が入った大福餅です。石山寺山門前の「茶丈藤村」でお土産に。
石山寺 硅灰石と国宝・多宝塔
【伊勢神宮遷宮式参拝の折、伊勢山田の俳人又玄(ゆうげん)宅に宿泊し、明智光秀が困窮した時、自分の髪を切って売り、夫を助けた妻熙子(ひろこ)を讃え、又玄の妻を賞し与えた句】
月さびよ 明智が妻の 咄しせん
・句意:月よ、余り明るく照らすな、もっと寂びた味わいで照らしてくれ。けなげな明智の妻の話しをしよう。
・句碑:大津市坂本5-13 西教寺内
【この句の河合智月は、大津の荷問屋・伝馬役佐右衛門の妻で、宮仕えの経験が有り、夫の死後尼となり、弟の俳人乙州を養子とし、蕉門きっての女流俳人として知られます。芭蕉が膳所滞在中は身辺の面倒をよく見ました。また、諸田玲子著の『ともえ』には、芭蕉・義仲寺・智月の話が書かれています】
少将の あまの咄や 志賀の雪
・句意:大津の智月尼を、雪降り積もった志賀の里に訪ねた所、昔ここに隠棲した少将の尼の咄をしてくれた。
【義仲寺無明庵が、以降、近江滞在中の芭蕉の拠点となり、次の3句では、大津の門人達との親しい様子が窺えます】
あられせば 網代の氷魚を 煮て出さん
・句意:霰が降ってきたら、近江名物の氷魚を煮てご馳走しよう。
・句碑:大津市黒津4-4-1 南郷水産センター前庭(トップ画像)
・網代の氷魚:氷魚は鮎の稚魚の事で田上の特産とされ、網代は川の流れを横切って杭を並べその間に竹や木を編んで魚を獲るものです。此の辺りの田上網代は特に有名でした。
南郷水産センター
何に此 師走の市に ゆくからす
・句意:私と同様に、用もないはずの烏が、何で人で混み合う師走の市に向かって飛んで行くのか。
薦を着て 誰人います 花のはる
・句意:華やかな新春、どなたが薦をまとった乞食の姿でいらっしゃるのか。