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2023.10.19

  • # 文化・景観
  • # 近江の祭り

近江の『生きた祭り』 近江中山の芋競べ祭り

近江の『生きた祭り』 はじめに

近江中山の芋競べ祭り

国指定重要無形民俗文化財
開催日:毎年9月1日
開催社:熊野神社・野神山
住 所:蒲生郡日野町中山19−31
交 通: 近江鉄道日野駅から中山行バスで終点下車徒歩3分

一人の大男が富士山を作る為に、里芋の茎を天秤棒にして琵琶湖の土を運ぶ途中、中山の地でこれが折れて代わりの里芋を探した事が起源とも云われています。中山集落が東と西に分かれて里芋の長さを競べる神事です。里芋の一種の「トウノイモ」の根元から葉先迄の長さを儀礼的に競い合い、地区の融和を図り畑作や稲作等生業の発展を期そうとする祭りです。

祭りは、東谷と西谷の両地区から選ばれた定数各7名の14名の裃を着た16歳以上の青年「山若」(やまわか)がこの日の祭儀の一切を執り行う役割を果たします。絣の着物を着て参列する8~14歳迄の子供達「山子」(やまこ)は野神山の祭場を作ります。かつては山若であった村の長老13人が「宮座」(みやざ)を務め「おとな」とも呼ばれ祭儀の元老の様な位置を占めます。山若を上がった人から選ばれた紋付の羽織袴を付けた「勝手」(かって)は神事が進むにつれて必要な品々を祭場へ繰り出す役割を果たします。祭り当日、前日から選ばれていた芋を早朝から東西それぞれで収穫し、神事に備えた飾り付けが行われます。午後1時、太鼓の合図と共にそれぞれの集落から「山子」が孟宗竹に飾り付けられた里芋を担いで熊野神社に参内します。社務所で宮座行事がなされ、また芋を担いで東西別れて決められた道を通り野神山の祭場へと移動します。祭場は8月下旬から「山子」達により作られています。芋の供進、神の膳を奉る、「山若」と「山子」に膳を出す等の儀式が行われます。

いよいよクライマックス「芋競べ」です。進行役が、芋を測る為の物差し「定尺」を持ち、芋の長さを測る行為「芋を打つ」をします。この時酔っ払ったような千鳥足の動作で芋の長さを測って行きます。双方が打ち終わると測った結果を述べるのですが、お互い自分達の方が長いと主張し勝敗が決まりません。繰り返されついに勝敗が決まる時には、東西の勝った側から発声が行われ、負けた側は自分達の芋が短かった事を告げます。俗に西谷が勝てば豊作、東谷が勝てば不作となると伝えられています。最後は東西で芋を取り替えられ、神を配し山を下ります。『東の芋より西の芋は、1丈も2丈も3・4丈も、5・6丈も長う打ちましてござる』等、長さを告げる為の滑稽な動作や、独特な言い回しは必見です。800年以上続いてきたとされる伝統の祭りは、元々人口の少ない両集落で、親から子へ代々受け継がれた誇りが散りばめられ祭礼が続けられています。他では見ることが出来ない天下の奇祭と云われる祭りです。

 

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