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2023.10.26

  • # 文化・景観
  • # 近江の祭り

近江の『生きた祭り』 三上のずいき祭

近江の『生きた祭り』 はじめに

三上のずいき祭

国指定重要無形民俗文化財
開催日:10月第2月曜日(体育の日)
開催社:御上神社
住 所:野洲市三上838
交 通: JR野洲駅下車南口から滋賀交通バスで御上神社下車すぐ

御上神社本殿(国宝)

野洲市三上地区は、5つの集落からなり、ずいき祭はこの地の氏神様御上神社の収穫感謝の祭りで、470年以上の歴史を持ちます。祭祀組織は、長之屋(ちょうのや)、東座(ひがしざ)、西座(にしざ)の3つの「宮座」によって担われています。祭りの当番は、「宮座」の選ばれた5人の「頭人」(とうにん)が務め、各々1基のずいき神輿を奉納します。祭りの神事は、5日前では「甘酒神事」、3日前では「湯立て式」、2日前では「ずいき刈り」、1日前では「お菓子盛り」とも呼ばれるずいき神輿作りや翌年の「頭人」を確認する儀式「頭渡し」(とわたし)が行われます。祭り当日は、ずいき神輿の奉納、夜には芝原式(差状を渡す・花びら餅を配る・猿田彦の登場・直会・子供相撲等の諸行事)が行われます。近畿地方に広く分布する宮座行事の中でも特殊な神饌を奉納する行事として注目されてきたものです。宮座による祭祀の変遷の過程を知る上で、また同種の行事の全国的な比較の観点からも重要なものです。

芝原式子供相撲

祭りの名称「ずいき」は、里芋の茎のことで秋の収穫に感謝する意味合いから、里芋の茎と、柿や栗、榊、鶏頭等の植物だけで作られた5基の、ずいき神輿と云う特殊な神饌の奉納が特徴です。祭りの準備は、前年12月に種芋を土の中に埋めることから始まります。種芋になる里芋は、ずっと昔から受け継がれたもので冬の寒さで凍らないよう埋めて置き、年が明けた3月に掘り起こし、良い里芋を選び三上5地区のそれぞれの畑に植えられます。1つの畑に植えられる本数は400本以上で、神輿に適した太い茎を育てる為に様々な手間と労力を使います。各地区とも神輿作りに参加するのは10~30人で地域総出の2日かかりの作業です。1つの神輿に使われる「ずいき」は約300本で胴や屋根等を作り、榊や鶏頭で屋根の上を飾りつけます。神輿の正面に小さな土俵が作られ、古くから大切に保管されてきた木製の「角力猿」(すもうざる)がおかれます。


ずいき神輿

6日間にも及ぶ祭りの為、毎年運営を続けていくには、地域の多くの人達の参加と協力が必要不可欠です。三上の人達にとって「ずいき祭」を後世に伝えていかなければとの想いが強く、守るのではなく伝える為にどうしていくのか、伝承する為の取り組みが続けられています。

 

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