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2021.05.13
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近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡④
近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡①
近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡②
近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡③
④1690(元禄3)年:3月中旬、伊賀上野から大津に入り、義仲寺無名庵に滞在します。4月6日から7月23日迄、膳所蕉門曲翠提供の「幻住庵」に滞在し「石山の奥、岩間の後ろに山有り、国分山といふ」に始まる『幻住庵の記』を著します。9月末、伊賀上野に帰るまで義仲寺無名庵に滞在します。また12月、京の落柿舎から近江へ来て乙州の新宅で越年します。
幻住庵
【伊賀まで訪ねてきた人への餞別句】
獺の 祭見て来よ 瀬田のおく
・句意:瀬田川の下流辺りでは、獺の祭りをしているので、是非見ていかれるがよい。
・句碑:大津市田上町枝 天神川橋脇(トップ画像:天神川は大戸川と合流し瀬田川になります。かってこの辺りに見られた獺は、獲った魚を岸に並べて先祖の祭りをすると云われていました)
【膳所の洒落堂からの眺望を褒めている句】
四方より 花吹入て にほの波
・句意:四方から花びらが吹き入れている琵琶湖は、波も花に染まって見事だ。
・句碑:大津市の御殿浜、高島市の白髭神社、長浜市の塩津神社と良疇寺、栗東市のコミュニティー1号線道路にあります。
【「かるみ」の理解に欠かせない一句と云われる句:不断に変化を続けた芭蕉が、最後に提唱した俳諧の理想形が「かるみ」(深い詩味を保持したまま日常的な題材を平易に表現すること)です】
木のもとに 汁も膾も 桜かな
・句意:花盛りの木の下、並べられた汁や膾に、桜が一杯散っている。
・句碑:湖南市三雲11 園養寺内
園養寺
他に、大津市の戒琳庵にあります。
「木のもとに…」句碑
【近江の門人達と唐崎の湖上に舟を浮かべた折の句です。近江には医者・商人・僧、武士等、多才な門人がいて、筆・紙・蝋燭等を提供し日常の世話をしてくれています。芭蕉にとっては、居心地の良い場所でした】
行春を 近江の人と おしみける
・句意:琵琶湖での一日、近江の人々と一緒に、近江を愛した古の人々と心を通わせながら、心行くまで春を惜しむことだ。
・句碑:大津市馬場1-5 -12 義仲寺内
他に、栗東市のコミュニティー1号線道路、甲賀市の息障寺、長浜市の酢区会館にあります。
「行春を…」句碑
・句碑は、芭蕉の真筆を拡大したもので希少です。近江に来ないと理解出来ない句と云われています。なぜ近江の蕉門達なのか。柿本人麻呂や西行法師等の近江を詠んだ先人達も含まれ、その人達と共に惜しむ句なのです。
義仲寺翁堂
【幻住庵から瀬田に泊り、早朝石山寺に参拝し、紫式部が源氏物語を執筆したと云われる「源氏の間」を見ての句】
曙は まだむらさきに ほとゝぎす
・句意:夜明けの空はまだ明けきらず、紫がかっていて、ほととぎすが鳴いて行くよ。
・句碑:大津市石山寺1-1 石山寺内
「曙は…」句碑
石山寺本堂 源氏の間
【この句は、幻住庵からの眺望やここでの生活を記しつつ、人生を振返り、現在の心境をも綴った最高俳文として称される『幻住庵の記』の最後を飾る句で、その心境を表したものです】
先たのむ 椎の木も有 夏木立
・句意:幻住庵の傍らの夏木立のなか、椎の木が何よりも頼もしく感じられる。
・句碑:大津市国分2-5 幻住庵、近津尾神社前
「先たのむ…」句碑
・幻住庵記の碑:全文が巻物を展開した形で91行に亘って刻まれ、横長の自然石にはめ込まれています。
幻住庵記の碑
・史跡幻住庵跡の碑
史跡幻住庵跡の碑
【この句も「かるみ」と云われます。金沢蕉門の秋之坊が幻住庵を訪ねた折の吟】
わが宿は 蚊のちいさきを 馳走也
・句意:何のもてなしも出来ない我が家では、蚊の小さいことがせめてものもてなしだ。
幻住庵
【芭蕉が好んだ語「無常迅速」(人の世の移り変わりが極めて速いこと)の前書があります】
頓て死ぬ けしきは見えず 蟬の声
・句意:間もなく死んでしまうのに、そんな様子は少しも見えず、蝉は鳴きたてている。
【堅田に行った折、夜の寒さに風邪をひき寝込んでしまい、9月13~25日迄滞在し、門人昌房(まさふさ)宛の書簡に「拙者散々風引候而(しかも)、蜑(あま)のとま屋に旅寝を侘(わび)て」とあります】
病雁の 夜さむに落て 旅ね哉
・句意:近江八景の一つ堅田の落雁を想い、列から離れた病気らしい雁が、どこかに降りたらしい。病身の私もここで同じく旅寝することだ。
・句碑:大津市本堅田1-22 本福寺内(本福寺は、堅田蕉門千那が住職をしていた寺です)
「病雁の…」句碑
本福寺
【堅田祥瑞寺にて】
朝茶のむ 僧静也 菊の花
・句意:庭の菊の花を前に、僧が静かに朝茶を飲んでいる。(いかにも静謐な禅寺の光景だ)
・句碑:大津市本堅田1-277 祥瑞寺内(一休が足掛け13年に渡り修養し悟りを開き、一休の道号を与えられた禅僧一休誕生の寺です)
「朝茶のむ…」句碑
祥瑞寺
【同じ時、堅田にて】
海士の屋は 小海老にまじる いとど哉
・句意:漁師の家では、獲れたての小海老が置いてあり、いとど(コオロギの一種)が混じっている。
・句碑:大津市本堅田2-13-13 堅田漁業協同組合会館
「海士の屋は…」句碑
堅田漁港
【近江の門人達が、無明庵を建て直している為、新築になった乙州宅で年越しをすることになり2句】
人に家を かはせて我は 年忘
・句意:人に家を買わせて、その新宅で私は年忘れという次第だ。招いてくれたことに対し、深い親愛の情に身を任せている。
かくれけり 師走の海の かいつぶり
・句意:師走の琵琶湖上に浮かんでいたカイツブリが、突然水に潜って隠れてしまった。
・句碑:草津市矢橋 矢橋帰帆島
【「かささぎの橋」とは、七夕に牽牛と織女が出会う為、かささぎが翼を広げて、天の川に橋を架けたと云う伝説を指します。琵琶湖大橋は、俳人でもあった時の滋賀県知事谷口如水が、芭蕉のこの句から着想を得て建設されたと云われます。1964(昭和39)年9月、琵琶湖大橋が開通しました。芭蕉の夢は300年近く経って現実のものとなりました】
比良みかみ 雪指シわたせ 鷺の橋
・句意:湖上の鷺よ。かささぎの橋の様に、翼を並べて、比良山と三上山の間に雪のように白い橋を架けてくれ。
・句碑:大津市本堅田1-16-18 浮御堂(満月寺)内
浮御堂と三上山
(この句碑は、芭蕉270年忌の記念碑として、書は、谷口知事が揮毫し、左に浮御堂、右後方に三上山が見える絶景の場所に建っています)
「比良みかみ…」句碑
琵琶湖大橋