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2021.05.20
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近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡⑤
近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡①
近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡②
近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡③
近江を愛した松尾芭蕉の句碑を尋ねる旅 近江を愛する芭蕉の足跡④
⑤1691(元禄4)年:1月、江戸へ下る乙州の送別句会を行い、伊賀上野に帰ります。3月末、京の蕉門去来(きょらい)・凡兆(ぼんちょう)の所で『嵯峨日記』『猿蓑』(さるみの)を編纂し、6月~9月新築された義仲寺無名庵に滞在し、10月29日江戸に戻ります。
【三ケ日は句を詠まず。正月四日に、乙州宅で詠んだ句】
大津絵の 筆のはじめは 何仏
・句意:大津絵では正月の筆初めは、どの仏から描き始めるのか。
・句碑:大津市園城寺町33 圓満院門跡内(句碑には、大津絵の「鬼の念仏」が彫られ、画は「松山」とあり、大津絵師の高橋松山(しょうざん)氏によるものです)
他に、大津市の芭蕉会館前と、月心寺内にあります。
「大津絵の…」句碑
大津絵「鬼の念仏」
【乙州が江戸に下向の餞別句会の句】
梅若菜 まりこの宿の とろゝ汁
・句意:江戸へ向かう旅は、梅の花や若菜の緑が美しい頃で、鞠子の宿では名物のとろろ汁が待っていよう。
【義仲寺無明庵にて】
木曾の情 雪や生ぬく 春の草
・句意:木曽義仲の心意気そのままに、雪にも負けず木曽塚辺りは、春の草が芽を伸ばしている。
【門人でもあり、生活上の援助者でもある乙州や膳所蕉門の正秀(まさひで)を無明庵に迎えて】
米くるゝ 友を今宵の 月の客
・句意:米をくれる友を客に迎えて、今宵の名月を楽しんでいる。
【無明庵での月見で詠んだ句】
三井寺の 門たゝかばや けふの月
・句意:十五夜の三井寺は謡曲「三井寺」で名高く、名月の今宵、ゆかりのある三井寺の門を敲き、知人を訪ねよう。
・句碑:大津市園城寺町33 圓満院門跡内
「三井寺の…」句碑
圓満院
他に、大津市の園城寺にあります。
・三井寺:数多くの国宝や重要文化財があり、近江八景「三井晩鐘」は「残したい日本の音風景百選」に、また謡曲「三井寺」ゆかりの観月舞台があります。近くには琵琶湖疏水が流れます。
園城寺大門
【次の十六夜三句は、8月15日に無明庵で月見の会を催し、16日は人々と舟で堅田に渡りました(江戸時代、堅田迄は舟で1時間程でした)堅田蕉門の成秀(なりひで)亭で歌仙をした様子が、俳文『堅田十六夜の弁』に書かれています】
やすやすと 出ていざよふ 月の雲
・句意:今日の十六夜の月は、意外にやすやすと出た後、雲に隠れがちでなかなか出てこない。
十六夜や 海老煎る程の 宵の闇
・句意:十六夜の月が出る迄の宵闇の間に、主人達は、酒の肴に海老を煎煮している。
鎖あけて 月さし入よ 浮み堂
・句意:浮御堂の鎖を開けて、月の光を中まで入れて、阿弥陀千体仏を輝かせよう。
・句碑:大津市本堅田1-16-18 浮御堂(満月寺)内
「鎖あけて…」句碑
また堅田十六夜の弁の碑(トップ画像)は堅田十六夜公園にあります。
・金時堂:干菓子「落雁」、びっくりの美味しさパイナップル大福等を食べながら、お店の御主人にお話を聞くと、堅田の今昔を知ることが出来ます。
浮御堂(満月寺)
【この年は閏八月で、八月が2回あり、中秋の名月も2度ありました】
名月は ふたつ過ても 瀬田の月
・句意:名月は二つ過ぎたけれども、瀬田の月は見飽きることはない。
【9月9日、乙州が酒一樽を持って訪ねて来てくれた】
草の戸や 日暮てくれし 菊の酒
・句意:重陽の節句(菊花を浮かべた酒を飲むと健康長寿になると云われる)など無縁の草庵だが、日暮れに貰った酒を、菊の酒として頂こう。
・句碑:大津市馬場 ときめき坂馬場公園横
他に、栗東市岡349の酒屋の前にあります。
「草の戸や…」句碑
【龍が岡(たつがおか)の大津の俳人山姿(さんし:百姓荘右衛門)宅を訪問し】
蕎麦もみて けなりがらせよ 野良の萩
・句意:野原の萩ばかり見とれず、蕎麦の花の方もよく見て、萩を羨ましがらせなさい。
・句碑:大津市竜が丘14 山の手団地入口公園(この公園辺りが、山姿宅の跡地と云われます)
「蕎麦もみて…」句碑
【江戸に下向の折、彦根の蕉門李由の明照寺を訪ね】
たふとがる 涙やそめて ちる紅葉
・句意:阿弥陀仏の尊さに、流す涙が染めたのであろうか、赤く色づいた紅葉が散っている。
・句碑:大津市国分2-5 幻住庵遊歩道の句灯柱
「たふとがる…」句碑
【江戸に向かう途中、大垣の蕉門千川(せんせん)に招かれて】
折ゝに 伊吹をみては 冬ごもり
・句意:この家の主人は、折々に伊吹山を見ながら冬籠りとは、羨ましい暮らしぶりだ。
・句碑:長浜市宮前町13-55 長濱八幡宮参道
「折ゝに…」句碑
長濱八幡宮