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2021.09.02

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近江歴史回廊の旅 東海道~土山宿から大津宿を訪ねて~ 土山宿

近江歴史回廊の旅 東海道~土山宿から大津宿を訪ねて~ はじめに

住所:滋賀県甲賀市土山町

交通:JR草津線貴生川駅から甲賀市あいくるバスで田村神社下車(次宿迄の里程:2里半7町)

町並東西約22町・人口1505人(宿駅大概帳による)

宿場の規模(軒):家数351・本陣2・脇本陣なし・旅籠44・問屋場1

 

土山宿は、京へ向かう旅人が鈴鹿峠を越えて最初に入る宿場で賑わっていました。「土山といへ共山なし 昔此所の郡主の姓也ぞ」と由来が説明され、戦国時代甲賀五十三家の一つ土山氏が治めていました。その後1595(文禄4)年、当地を治めた徳川家康は土山宿の伝馬飼料の為に年貢を30石免除し早くから宿場の性格を有していました。僅かに湾曲した街道に沿った江戸時代の面影を残す古い町並がよく残っている江戸から数えて49番目の宿は、「土山の町並みを愛する会」の人達が、屋号の看板や宿の施設・旅籠跡の石碑等を建て歴史的な町並を誇りに思い大切にしようとする気持が伝わります。

土山宿:田村川に架かる海道橋

 広重の浮世絵は、土山宿と云えば鈴鹿馬子唄「坂は照る照る鈴鹿は曇る、あいの土山雨が降る」で知られる所です。広重は、浄瑠璃の一場面「重の井子別れ」でも歌われた、この馬子唄を口ずさむか、思い浮かべてなのか「春の雨」と題して描いています。土山宿に入る手前の田村川に架かる板橋と春の雨に濡れて橋を渡る大名行列の先頭を描いています。槍や、茶弁当の両掛を担いだ足軽達は、菅笠を被り茶色の合羽を着ています。この合羽は赤い紙に桐油を引いたもので赤合羽と云われ大名行列に加わる下級武士がよく使いました。これに対し青色の半合羽を着ているのは上級武士か、いずれも鳥居本宿の合羽屋から購入したのかもしれません。雨で水嵩が増し、流れの色が春の水の暖かさを感じさせる川は、白い水飛沫を上げ勢い良く流れています。激しく降る雨の中では流石の武士たちも威儀を正す余裕はなさそうです。鬱蒼と茂った森が田村神社です。東海道五十三次の三大作品の庄野宿・蒲原宿・亀山宿に次ぐ作品と高く評価されています。

 

【見所】

・鈴鹿峠:伊勢国坂下宿から近江との国境を登る険しい峠道は、片山神社の石垣手前から峠の頂上迄約600m、道狭く雨の日は清水が所々に湧き、越えるのが難しく「八町二十七曲」と云われ、古くから雲助や山賊の話が伝えられる、箱根峠に次ぐ難所でした。峠は三重県亀山市と滋賀県甲賀市の境、三子山と高畑山の鞍部にあり鈴鹿山系では最も低い所で標高378mにあります。峠は平坦な杉林で江戸時代は茶店が並び旅人で賑わっていたのでしょう。いよいよ下りで滋賀県側は比較的なだらかになります。林を抜けると一面の茶畑で、この茶畑を抜けると万人講常夜燈です。

 

道標:近江と伊勢の界

・万人講常夜燈:江戸時代中期に金毘羅参りの安全を祈願して建てられたもので、重さ38㌧、高さ5.44m あり、坂下宿甲賀谷の人達3000人の奉仕で造られました。傘部分の岩は一枚岩で難事業を思わせる常夜燈は、近江国側の目印となり威容を誇っています。

万人講常夜燈

・田村神社:812(弘仁3)年創建で祭神は平安時代に征夷大将軍として蝦夷を平定し、鈴鹿山の群盗を誅して天下の憂いを除いた坂上田村麻呂です。弓の名人であった田村麻呂んちなみ弓が厄除けとなり崇められています。近くの旧東海道の田村川には海道橋が架かっています。

田村神社本殿

・本陣跡:土山宿には本陣が二つあり、土山宿本陣は1634(寛永11)年徳川家光上洛の際に設けられました。初代土山喜左衛門は甲賀武士の土山鹿之助の末裔です。肥後熊本藩の御用達で勝海舟の名も見られる当時の貴重な宿帳等の資料が多く保存されています。現在も民家としてそのまま残り、黒漆喰塗壁に籠目格子造りの旅籠独特の造りを留める二階建の建物です。予約で見学できます。

土山宿本陣跡

もう一つの大黒屋本陣は、江戸時代中後期の交通量増加に伴い、豪商大黒屋立岡が経営する旅籠が控え本陣に指定されました。現在は公園になり大黒屋本陣跡や土山宿問屋場跡や高札場跡の標石や案内板があります。

・御代参街道道標:宿の西端に追分があり、「お伊勢参らばお多賀へおいやれお伊勢お多賀の子でござる」と謳われた多賀大社へお参りする御代参街道は、ここから中山道の愛知川宿を経て多賀へと通じ、お参りの人々や近江商人が行き交いました。

御代参街道道標

・東海道の松並木:土山町大野地区の野洲川を見下ろす堤防沿いに反野畷の道標と案内板があります。この辺りの松並木が旧東海道の面影を残す、県内では多分一番の松並木です。

東海道松並木

・その他:

「土山茶」土山は滋賀県一の生産高を誇るお茶所です。霧が濃く日照時間が少ない鈴鹿山麓の気候風土が、お茶の生育に適し高級煎茶の産地です。味が濃く香りも良く何煎も頂けると江戸時代の旅人から美味しいと評判になり現在も広く親しまれています。

鈴鹿峠を越え茶畑へ

「かにが坂飴」太古の昔、鈴鹿山麓に居た身の丈3mの大蟹退治の伝説にちなんで江戸時代から売られている飴で、麦芽糖と水飴が原料の円盤状で蟹の甲羅を模した形の厄除け飴は、現在も高岡家が伝承され懐かしい味がします。

「いが饅頭」昔、鈴鹿越えの際に食していた菓子で、白団子と山栗を加工した舌触りの良い餅の上に色付けした米粒がのっており、今も正和堂製菓で製造されています。

また古くから旅人が食した「夕霧蕎麦」が民芸茶房うかい屋で再現されています。

「美味しいお酒」初桜があります。

「東海道伝馬館」土山宿の情報発信拠点として、東海道、宿、伝馬制度の説明や問屋場の復元コーナーがあり無料です。

東海道伝馬館

「道の駅あいの土山」甲賀市土山の特産品が揃う道の駅です。土山茶が無料で飲め休憩もできます。自分で詰め放題の抹茶ソフトが楽しめます。

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