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「滋賀の魅力」ブログ
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2020.08.20
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日本遺産・琵琶湖 祈りと暮らしの水遺産 芦浦観音寺
※今回からは、2019年8月発行の東京滋賀県人会会報『滋賀縣人』第194号にてご紹介した、2018年に追加指定された草津市・守山市・野洲市の構成文化財7件を掲載いたします。
水遺産区分:水と暮らしの文化
住所:草津市芦浦町363 -1
交通:JR草津駅下車西口より近江鉄道バスからすま半島行「芦浦」下車徒歩5分
草津市は、東部丘陵地から流れる複数の河川によって形成された扇状地・三角州等、肥沃な複合沖積平野からなっています。西部地域は、美しい琵琶湖に面し、豊かな水と水田とが優れた田園景観を醸し出しています。草津市の歴史は古く、琵琶湖岸周辺では、縄文時代から社会的・経済的活動が行われていたことを示す遺跡・遺物が数多く認められる他、東部丘陵地を中心にほぼ市全域に古墳の分布が見られます。
阿弥陀堂
一方、東海道及び中山道の分岐・合流点に位置する草津市は、中世における宿駅の設置以来、交通の要衝としても多くの旅人達で賑わってきました。湖岸においても、志那、山田、矢橋の港が、湖国における水運の要衝として明治初期まで栄え、水陸ともに重要な位置を占めてきました。
芦浦観音寺は、天台宗「大慈山観音寺」と称し、本尊は十一面観世音菩薩で秘仏となっています。寺暦は古く聖徳太子が開基、秦河勝が創建したと伝えられる名刹で、1408(応永15)年に京の普勧寺の僧歓雅の入寺により中興し、現在の城郭形式の表門はこの頃以降に出来たものと云われます。
城郭の様な表門
当寺が歴史上重要な役割を担うのは、中興から数え7代目住職の慶順が織田信長から琵琶湖の水運権を任せられるようになってからです。湖上管船奉行として現在の大津市観音寺町に代官所を置き、7世慶順から13世朝舜までの7代111年間に亘ります。戦国時代以降、代々琵琶湖の船奉行を務め、湖上交通を支配していました。石垣や土塁を配する等、城郭を思わせる特異な寺の形をし、境内全体が堀で囲われ、堀は水路で琵琶湖へと繋がる等、水と暮らしが密着する往時の姿を今に見ることが出来ます。
堀
阿弥陀堂は1553(天文22)年京の普勧寺より、書院は1685(貞享2)年野洲市の永原御殿(徳川将軍専用の宿泊休憩所として街道沿いに造られた御殿です。近江には永原・伊庭・水口・柏原の4箇所に設けられました)から移築されたと云われます。また、多くの寺宝を有し、「近江の正倉院」と呼ばれます。
土塁
訪問した時は、春の一般公開の時期でした(一般公開は春と秋の年2回)。草津市観光ボランティアガイド協会が協力しておられ丁寧な説明を受け、庭園は、レイカディア大学(2年間の学習成果を地域の活動等に生かせるようシニアが学ぶ場)園芸学科の人達が手入れされ、江戸前期に造られた古典椿の朴伴「観音椿」も復活されました。重文阿弥陀堂の屋根が台風で破損していましたが早く修復されますよう願っています。
・文化財:
【国指定重要文化財建造物】観音寺阿弥陀堂・観音寺書院(トップ写真)
【国指定史跡】芦浦観音寺跡
・立ち寄り所:琵琶湖博物館、水生植物公園みずの森、道の駅グリーンプラザからすま、ロックベイガーデン
水生植物公園みずの森
写真提供:(公社)びわこビジターズビューロー(水生植物公園みずの森)