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2020.08.06
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千三百年つづく日本の終活の旅~滋賀の西国三十三所観音巡礼~ 第三一番 長命寺
千三百年つづく日本の終活の旅~滋賀の西国三十三所観音巡礼~ はじめに
第三一番:姨綺耶山長命寺
住 所:近江八幡市長命寺町157
交 通:JR琵琶湖線近江八幡駅下車近江鉄道バス長命寺行き、または休暇村行きで25分長命寺下車、徒歩20分
宗 派:単立寺院(天台系)
御本尊:木造十一面観音立像、木造聖観音立像、木造千手観音立像(観音堂)
御詠歌:やちとせや やなぎにながき いのちでら はこぶあゆみの かざしなるらん
御朱印
観音霊験記
滋賀県人に歌い継がれる『琵琶湖周航の歌』の6番では「西国十番長命寺」と歌われています。作詞者の小口太郎は「西国三十一番では語呂が悪く歌にならない」と「西国十番」としたと云われます。今は陸続きになっていますが、かっては琵琶湖に浮かぶ島だったと云われ、巡礼者は宝厳寺からは船で参詣していたようです。
参道の石段
琵琶湖畔から八百八段の石段を登ると、標高333mの長命寺山腹の琵琶湖の眺めが美しい場所に、多くの重要文化財の諸堂が立ち並んでいます。伽藍の殆どは優雅さを感じさせる檜皮葺きで、東西に広がる屋根の重なりが美しく周囲の緑と調和して非常に落ち着いた佇まいとなっています。
本堂と納経所
寺伝では武内宿禰が山を開き、619(推古27)年に聖徳太子が寺を創建したと伝えられ、武内宿禰の長寿にちなみ、「長命寺」と名付けられたと云われます。中世には延暦寺西塔の別院として地位を保ち、近江守護佐々木氏の庇護を受け栄えましたが、1516(永正13)年佐々木氏と伊庭氏の対立により伽藍は全焼し、現在の堂宇は室町時代以降に再建されたものです。
六処権現影向石(上)と修多羅岩(下)
本堂裏手には、2つの巨石が重なって今にも崩れ落ちそうな六処権現影向石があり武内宿禰が祈りを捧げ300歳の長寿を全うしたとの云い伝えがあります。また、鐘楼裏手にある修多羅岩は開山の武内宿禰の御神体とされているそうで、いずれも巨石信仰の名残りでしょうが、不思議な巨石達の迫力と存在感が感じられます。
本堂内部
本尊は、本堂厨子内の中央に安置される秘仏の木造千手観音立像(重文)で、厨子内には、他に中尊の向かって右に木造十一面観音立像(重文)、左に木造聖観音立像(重文)が安置されています。寺では古くから秘仏の三尊を一体の存在として信仰し、厨子の後室には薬師如来像も祀られており、元は天台寺院であった寺の歴史を物語るほか、琵琶湖を巡る薬師(水)信仰の一拠点としての隠れた側面がかいま見られます。
境内からの琵琶湖の眺望
境内からは美しい琵琶湖の風景が広がり、本堂よりもう少し頑張って登り太郎坊権現社まで行くと、かって白洲正子が「近江の中で一番美しい場所」と讃えた程の絶景で、琵琶湖の向こうに比叡山が見えます。中世以来今も秘仏の薬師如来像が祀られ、不動の滝など水の浄土信仰心・祈りを表す地として人々が訪れます。健康長寿の観音さんであるとともに、近江商人達から篤く信仰されました。
『観音霊験記』では、藤十郎と云う人が都に行く途中、盗賊に金品や上着を奪われ殺されてしまいました。海に捨てられた肌着の中に長命寺の守仏があり、不思議な光を放っていたので、漁夫の夜網にかかり引き上げられました。藤十郎は守り仏の霊験により生き返り、仏力を尊び、長命寺の住僧の弟子となり『観音経』を学び怠らず読誦しました。後に堅田村に堂を建て守仏を安置し、益々不思議な霊験を受けたと云われます。
年間参拝者数は約十万人と云われ、その内2割程度の人が麓から階段を登られるそうです。私達は階段を使わず車で訪問しましたが、帰路港から比叡山を望む対岸の夕景が、とても綺麗でじっと眺めていました。
・文化財:
【重要文化財建造物】本堂・護摩堂・三重塔・鐘楼
三重塔
・立ち寄り所:水茎焼陶芸の里、ラ・コリーナ(たねやグループのフラッグシップ店)、シャーレー水ヶ浜(レイクビューレストラン)、沖島(日本唯一の湖沼の有人島)、国民休暇村近江八幡
【重要文化財建造物】旧西川家住宅、八幡社本殿、小田神社楼門
【重要伝統的建造物群保存地区】近江八幡市八幡(商家町)
【重要文化的景観第1号】近江八幡の水郷、西の湖(ラムサール条約による保護湿地)、春色・安土八幡の水郷(琵琶湖八景)、近江八幡水郷巡り(日本三大水郷)、円山地区(日本の里百選)、紙平老舗(でっち羊羹・むべの実・長命のつゆ)
・近江6札所限定の浄土の鳥(滋賀県内の札所でしか頂けない、一つ一つ手作りの土鈴を集めてみませんか)
迦陵頻伽:浄土で美しい歌を奏でている鳥