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2022.12.22

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第15回 AKINDO塾 レポート

東京滋賀県人会では、滋賀県に所縁のある人々や会員同士の人脈形成、ネットワークの構築、知識の向上を支援する目的で、2016年秋以降『AKINDO塾』を定期的に開催しています。

第15回は、11月15日(火) ここ滋賀2階「近江牛 毛利志満」にて、講師に山野 善正 氏【(一社)おいしさの科学研究所理事長、香川大学名誉教授】をお迎えし開催いたしました。

演題を「おいしさを科学する」として、「おいしい」「おいしさ」とは? について、お話しいただきました。

山野 善正 氏

 

講演要旨は以下の通りです。

おいしさを科学する

一般社団法人おいしさの科学研究所  理事長 山野 善正

食は生の原点。食べることは、生きていくうえで、最も重要。

日本人は古来菜食だった。「君がため 春の野に出でて 若菜摘む わがころも手に 雪は降りつつ  光孝天皇」
食品の品質の三要素は、栄養、おいしさ、安全性である。おいしさの要因としては、次の4つ。

1 欠乏による生理的な欲求が強い場合、それを満たす食物はおいしい(生理的要因)

2 民族や集団の中で発達した食文化に合致するものはおいしい(文化的要因)

3 情報がおいしさを規定する場合がある(情報要因)

4 欠乏していなくても本能的な報酬の快感を強く刺激する特殊な食品がある(薬理的要因)

 

おいしさの3要素は、狭義の味、匂い、テクスチャーだ。人間が喫食時に感じるおいしさの順序は次のとおり。

①食べる前:外観(色、形、大きさ)、匂い。

②咀嚼のとき:テクスチャー(食感、温度、音、大きさ)、味、匂い。

③喉ごしのとき:テクスチャー。

おいしさに貢献する化学的なおいしさと物理的なおいしさは食品によって異なる。白米、卵豆腐、だんごなどは物理的なおいしさの要素が大きく、ビフテキ、ポタージュ、オレンジジュースなどは化学的なおいしさの要素が大きいという研究もある。

おいしさ関連の研究論文は2000年代に増えている。おいしさの数値化(見える化)をいかに進めるかが大事だ。広告拡販にもおいしさの科学が活用されている。例えば、さつまいもに関し、おいしさの科学研究所による味覚センサーのデータを添付して、甘みが持ち味の「弘法の恵」、旨味・苦味が強い「夢の芋」など、活用されている。市場開発にもおいしさの科学が使われている。例えば、柔らかい柿は、インドネシア、タイ人には評価されないが、カンボジア、ミャンマー人には好まれる。いりこだしは、インドネシア、ミャンマー人には好まれるが、タイ人には評価されない。他方、かつおだしは、インドネシア、ミャンマー人には好まれず、タイ、カンボジア人に評価される。

おいしさ要素の評価法には、客観的方法(測定機)と主観的方法(官能検査)がある。ペットボトル入り緑茶を測定機で分析すると酸味、渋味、苦味雑味など大きく異なる。

最後に演者の心構えとして、(1)好奇心、集中、決断、行動(ダメ元)、現場尊重自分が知っていることより、知っている人をどれだけ知っているか(2)三方よし(3)もったいない。

●質疑応答

日本食は、今や世界に広がっている。ミシュランの2021版の星付きレストランの数は、東京211、パリ115、京都110、大阪96、ニューヨーク65と日本が断然群を抜いている。日本食のおいしさは世界一だ。

(文責 塚本 弘)

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