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「滋賀の魅力」ブログ
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2021.12.02
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第12回 AKINDO塾 レポート
東京滋賀県人会では、滋賀県に所縁のある人々や会員同士の人脈形成、ネットワークの構築、知識の向上を支援する目的で、2016年秋以降『AKINDO塾』を定期的に開催しています。
第12回は、10月29日(金) ここ滋賀2階「滋乃味」にて、講師に種村 重和 氏【江州技研(株)代表取締役】をお迎えし開催いたしました。
演題を「好きなことをして人生を生きる」として、中東など海外でのご活躍や今のお仕事に取り組むようになったいきさつ、ニュージーランドへ移住された話など、これまでのご経験など、興味深いお話をお聞かせいただきました。
種村 重和 氏
講演要旨は以下の通りです。
人生を振り返ってみると、大事なときには、いつも人に支えられてきた。「思いやり」と「感謝」が大事だと思う。先日ノーベル賞を受賞された真鍋博士は、「自分には同調圧力への耐性がない」と言われた。確かに、日本には、様々の規制があり、閉塞感がある。自分の話が若い人達に何らかのヒントになればありがたい。
18才のとき、滋賀県を出て、神奈川大学法経学部に入学した。当時の横浜は活気があり、アルバイトもし、色々遊んだ。カタールのドーハに製塩工場の工事にインターンとして行く予定だった。英語が話せなかったが雑用係として働く予定だった。当時カタールは未だイギリスの統治下で内乱が起こり、製塩プロジェクトは中止になった。自分が働いていたのは、ステンレス加工をするサブコントラクターだったが、その後、工場を持たない会社を作ろうということで、何人かと一緒に会社を設立した。基本はカスタムメイドで、得意なものは作るが、それ以外はアウトソーシングでやった。韓国の大韓生命ビルの地下の水族館の大きな水門の受注をした。油壷のマリンパークの水族館工事に携わり、其れがご縁で油壷より大型の水門を作ってほしいと言われたが、困ったのは、ゴムのパッキング。特別に金型から作るのではコストがかかるので、苦労した。ちょうどソウルオリンピック開催前で、3ヶ月ぐらいロッテホテルで泊まって、日本と行ったり来たりで工事の監督をした。まだ、キーセン(妓生)パーティが盛んなときだったが、自分は一度も行かなかった。ホテルのボーイがそんな客の行動をよく見ていたようで、あるとき、ボーが自宅に呼んでくれ、歓待してくれた。自分を律することも大事だと思った。
京都では、居酒屋を3軒経営した。なぜ、そんなことになったかだが、あるとき、バブル期だったが、偉い人から命じられて、靴に入った酒を飲めと言われ、皆んな飲んだが、自分は絶対に嫌と断った。そのとき、居酒屋の大将から、「あの人達は、昼間は裃(カミシモ)を着けて働いており、夜は、羽目を外したいという気持ちでやっている。理不尽かもしれないが、そういうことを分かってあげるのも大事だよ」と言われた。45、6才のころだが、それで、自分もカウンターの中に入ろうと思い立って、自分の店を3軒持った。新幹線で東京から京都北大路の店に通った。面白い店だということで、オムロンの立石社長やロマン吉忠の社長にも来ていただいた。そのとき、京都産業大学教授のフーブリヒト氏や夫人とも知り合った。その娘さんが、北京大学に入学された。当時日本はそろそろバブルがはじけ始める時で、これからは、中国の時代と言われ、思い立って、蘇州にアウトソーシングの工場を得た。この出会いがなかったら、中国に進出していなかった。余談だが、新幹線で行き来していると、ある時、某国会議員が、ミニボトルを一杯並べて、無くなったと大騒ぎ。見ておれずに「あなた方だけの車両ではない」と注意したこともあった。
ニュージーランドにどうして行ったのかだが、ツアーコンダクターのベテラン女性に、少し日本の全体がおかしいのでは無いかと感じていた時(丁度リーマンショック前の今から16年前)、世界のどこが一番いいかと尋ねたところ、ニュージーランドと言われた。英語がそれほどできる訳でもなかったが、とりあえず、行ってみた。クライストチャーチは、あまりに自然に囲まれており、もう少し、刺激のあるオークランドの方が面白そうということで、そちらにしたが、クライストチャーチはご存知の通り、大地震があり、大変だった。その後、クライストチャーチで日本人の知り合った人がクライストチャーチを閉め、オークランドにオフィスを移すとの事で、そのお手伝いという事で色々仕事をしているうちに、永住権も得ることができた。5年前に帰国して、東京滋賀県人会に参加させていただくことになった。東京オリンピックのプロジェクトがたくさんあり、建築装飾金物の仕事も多くやった。自分の人生を振り返ると結局その節々は、人と人のつながりで生かされてきたという思いが大変強い。「三方よし」の精神で今後とも楽しく人生を過ごしていきたい。
(質疑応答)
●ニュージーランドでの日本食は?
>正直にいうとレベルはそれほど高くはない。ただ、cocoroという和食レストランはお勧めだ。nobuで修業したシェフがいるので、美味しい。
●人との出会いが今日をもたらしたとのお話、とても感銘を受けたが、どの人でもいいという訳ではなく、これはという人をどうして見抜かれるのか?
>なかなか核心を突いた質問だ。とにかく色々のジャンルの人と付き合うことが大事だ。その人の話を聞いて、信用できる人かどうかは、じっと目を見ると分かる。横浜で有名な「根岸屋」(黒澤明監督の「天国と地獄」にも登場。1980年火事で焼失)でアルバイトをしていたとき、色々の人の本当の姿を五感で感じた。一見、上品そうな人が、実際はゲスであったり、はしけで働いている人が立派だったりした。
●人生で大事にされていることは?
>「感謝」だ。
(文責 塚本 弘)