一般社団法人東京滋賀県人会

湖南

第10回 AKINDO塾 レポート

公開日 : 2019.12.5
第10回 AKINDO塾 レポート

東京滋賀県人会では、滋賀県に所縁のある人々や会員同士の人脈形成、ネットワークの構築、知識の向上を支援する目的で、2016年秋以降『AKINDO塾』を定期的に開催しています。

第10回は、11月22日(火) ここ滋賀2階「滋乃味」にて、講師に武貞 秀士 拓殖大学大学院 特任教授を迎え、開催いたしました。

演題を「朝鮮半島情勢を読む」として、昨今ますます緊迫の度合いを高める朝鮮半島情勢について、分析していただきました。

武貞 秀士 氏

講演要旨は以下の通りです。

父が滋賀出身で、晩年信楽の勅旨に窯を持ち、陶芸をしていたので、今も、2、3か月に一度ぐらいは滋賀に行っている。9月にも北朝鮮に行ってきた。いくつか写真を見てもらいたい。これは、トロリーバスを待つ平壌市民。バス停前で列を作っているが、世界中でこのような列を作るのは、日本人と北朝鮮人ぐらい。戦前の良い習慣が残っている。ポスターでは、自力更生を謳っており、制裁は効いているが、国民生活が破たんするほどではない。ビアホールでは7種類ぐらいのビールの飲み比べが流行している。高層アパートも増えており、スモッグが相当ひどい。環境対策で日本の技術が貢献しうる余地がある。

韓国にも行ってきた。これは、コンビニのおにぎりだが、日本で流行しているものはほとんど韓国でも売られている。文在寅政権に関しては、支持と不支持が二分。反文在寅の集会にも行ったが、そこでは、朴正煕、朴前大統領は偉大な指導者と讃えられていた。

1 日本と韓国が対立するのはなぜか

(1)国際地位上昇で自信を持った韓国。日本は畏れるに足らず。日韓貿易は900億ドル、中韓貿易は3000億ドル以上。

(2)韓国の国内政治的背景。文在寅政権は親日派を排除した社会を作りたい。「建国以来の韓国政治の矛盾は、親日派が生き残ったから」。親日派払拭の政治。

(3)朝鮮半島に独特の歴史観あり。儒教文化は中国で興り、朝鮮半島で発展し、一部が日本に伝わった。儒教の師匠は朝鮮半島なのに、日本が35年間統治した。

(4)日韓関係。「感情」をベースにする韓国と、「法秩序維持」をベースにする日本。

2 「日本に勝つ」ことに邁進する文在寅政権。8月以降に起きたこと。

(1)支持率急降下で与党に危機感。曺国法相の辞任。家族に逮捕状。

(2)8月2日、「ホワイト国除外」に対抗する文大統領発言「相応の措置を断固として取る」「事態悪化の責任は日本にある」「二度と日本に負けない」。

(3)8月14日、国防中期計画(2020-2024)。年間国防予算5兆1千億円。(日本は5兆5千億円)自衛隊に負けない韓国軍の創設。

(4)8月15日文大統領の光復節演説のポイントは、「南北統一」。「解放から100年の節目、2045年に南北統一へ」。

3 北朝鮮が韓国を無視し続ける背景

(1)韓国に期待しつつ文在寅政権に圧力を加えている。「韓国は単独で経済制裁を解除すべき」。

(2)米朝首脳会談再開を優先している。「時間が北朝鮮に味方している」と判断。9月9日、金前姫第1外務次官は「非核化問題で米国が条件提示を」と発言。

(3)経済制裁下でも普通の市民生活。増えたタクシー、電気自転車、賑わう百貨店。満員の地下鉄に外国人も乗車。中国とロシアから流入する商品と金。

(4)最高人民会議で憲法改正。金正恩委員長の指導力を強化。権力闘争の兆しなし。

(5)金正恩体制は日朝対話に消極的。米朝関係の「劇的展開」で安倍政権が北朝鮮に接近すると計算。

4 東アジアの今後と日本がすべきこと

(1)米朝協議(10月5日)、ストックホルム郊外で8時間半。合意なし。金明吉主席代表「協議は決裂」。トランプ大統領が譲歩すべきという強気の姿勢。米国務省の報道官は「米国は創意的なアイデアを持ち、北朝鮮とよい議論をした」。

(2)トランプ大統領は文在寅政権に不満。韓国のGSOMIA破棄決定に不満。

(3)文政権が目指すのは「米国に依存しすぎない、日本の影響を最小限にする韓国」。対外関係は必然的に北朝鮮、中国、ロシアを向く。盧武鉉元大統領は、「韓国は北東アジアのバランサーになる」「外国軍隊に国家の防衛を依存している国家があるだろうか」と語った。盧武鉉のブレーンが文大統領の側近。

(4)中国は米韓同盟の変調を歓迎。朝鮮半島から米国の影響力を消すのが狙い。

(5)ロシアの復権を画策するプーチン大統領。「沿海州の発展は朝鮮半島の地政学的条件を活用することから」。韓国と北朝鮮の双方との関係強化を進める。

(6)第二次安倍政権発足以来、インド太平洋構想を推進した日本。朝鮮半島周辺の新しい展開に対処する必要あり。日露の平和条約。日中関係における「法の支配」推進。難問山積の日韓関係。前提条件をつけず日朝首脳会談を追求。北方の隣国との関係を総合的に見直す「北方政策」が必要。

(7)日朝関係の打開のための方策。米国、韓国、中国、ロシアの対北朝鮮首脳外交に学ぼう。「前提条件なしの首脳会談」が必要。連絡事務所設置は可能。スポーツ交流、人的往来を活性化するチャンス到来。英、独の方式も一案(国交樹立で人権問題を糺す)。

(8)東西ドイツが統一して30年。朝鮮半島の統一は「絵に描いた餅」だろうか?「南北の経済格差は統一の障害ではない。国際コンソーシアムが投資をする。中国、ロシアも加わる。米民間投資家も参加する」と楽観する韓国有識者たち。一人当たりGDPは南北で44対1(ドイツは2.3対1)、貿易関係は120対1であるが。

                    (文責  塚本 弘)

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