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2019.12.05

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日本遺産・琵琶湖 祈りと暮らしの水遺産 シコブチ信仰

日本遺産・琵琶湖 祈りと暮らしの水遺産 はじめに

水遺産区分:水と祈りの文化

住所:高島市朽木・高島市安曇川町他安曇川流域一帯

交通:JR湖西線安曇川駅下車江若バス朽木線朽木支所前より乗換、針畑線の沿線

近江は奈良時代以前から杣と呼ばれた木材の産地で、京や奈良の都に近く都造営等の為に多くの用材を必要とし、とりわけ森林に恵まれた安曇川流域は建築用材を切り出す杣山が多くあり重要な役割を果たしていました。東大寺の建築用材も安曇川から琵琶湖・淀川・木津川の水運により運ばれたと云われています。木材を水上輸送するのは筏で、渓流部では流れも速く大きな岩や淵なども随所にあり筏乗りにとっては命に係わる大仕事でした。そこで、その危険な仕事を無事行えることを願って川の魔物を取り除く神様「シコブチ神」が誕生し、安曇川水系の人々の間で信仰されていきました。

筏流しのあった安曇川渓谷

安曇川流域山間部(安曇川の源流の一つである京都市左京区大原大見町から一番下流は高島市安曇川町中野迄)には「シコブチ」という名の神社が15社、神社跡が2社、講が2つあります。筏乗りにとって難所が多かった所や谷川の合流点や木材加工の作業場など筏流しや山仕事に関わる場所の近くに祀られています。「シコブチ」という不思議な響きの名前ですが安曇川の筏流しの安全を見守る神様です。その分布は安曇川流域とその源流に限られており、「水」に対する独自の地域信仰です。

小川の思子淵神社 本殿(トップの写真は覆い屋)

1200年以上続いた安曇川の筏流しも昭和初期には衰退し昭和23年を最後に行われなくなりました。平成27年7月朽木小川の思子淵神社が国の重要文化財に指定されました。古くから覆い屋に納められていたと思われる、室町時代前期に遡る一間社流見世棚造りの本殿・蔵王権現社・熊野社の3棟の社殿を一体的に残す極めて稀な遺構です。

岩瀬志子淵神社の覆い屋

安曇川沿いの町歩きをしていると、むかし城下町として発展し、その後陣屋町として整備され鯖街道の主要な中継地として賑わっていた朽木市場地区があります。そこには江戸時代初めに整備された水路と川戸(カワト)があり、洗い物等や消火用・除雪の融雪に利用されていました。また山の湧水を竹筒等で導水し、要所にサイフォンを利用した「溜め桝」(立樋)をレンガで造り、家々に水を配分した古式水道が今も見られ、当時の名残りを感じることが出来ます。

山岸水道の「立樋」と水路の川戸

・文化財:

【重要文化財建造物】朽木小川の思子淵神社、葛川明王院本堂(葛川坊村)他

【国名勝】旧秀隣寺庭園(朽木岩瀬)、池の沢庭園(朽木村井)

【国史跡】藤樹書院跡(安曇川町)

・立ち寄り所:岩瀬志子淵神社等15社、朽木資料館、朽木山岸水道(立樋)、丸八百貨店、道の駅くつき新本陣、朽木生杉のブナ原生林(日本の紅葉百選)

・湧水等:秋葉の水(安曇川町中野)、三尺の泉(藤樹書院跡の庭)

 

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