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2019.04.25

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第7回 AKINDO塾 レポート

東京滋賀県人会では、滋賀県に所縁のある人々や会員同士の人脈形成、ネットワークの構築、知識の向上を支援する目的で、2016年秋以降『AKINDO塾』を定期的に開催しています。

第7回は、4月12日(金) ここ滋賀2階「滋乃味」にて、講師に有馬 純 氏【東京大学公共政策大学院教授】を迎え、開催いたしました。

有馬 純講師

現在の我が国が直面しているエネルギー問題、環境問題を、第一人者の観点から、分かり易く解説していただきました。

30有余名の参加者の多くが地球温暖化に対する問題意識をお持ちのようで、質疑も大変活発でした。

皆さま大変興味深いお話であった、との感想を語られておられました。

 

講演要旨は以下の通りです。

温暖化問題は難しい。様々な不確実性(温室効果ガス濃度が倍増した場合、温度は何度上昇するのか。温度上昇に伴う損害額は? 削減コストは? 技術開発のスピードは?)があり、さらに温室効果ガスの削減にはコストがかかるため、温暖化交渉は難航。パリ協定からトランプ政権は脱退を表明。日本は2030年に2013年比26%減の目標。ただし、各国目標を合わせても2℃の目標には届かない。

今後、世界の電源構成で石炭シェアの大幅削減、再生エネルギー、原子力のシェア拡大が必要。ただ気候変動は17の国連の持続可能開発目標(SDGs)の1つであり、他の目標とトレードオフの関係もある。例えばアジアでは潤沢な石炭を活用して貧困をなくそうとしているが、石炭は気候変動にはマイナス。フランスのマクロン政権も気候変動問題のため、炭素税を引き上げようとしたが、「エリートは世界の終りを語るが、自分達には月末の支払いが問題だ」と激しい抵抗。

日本の今後の政策では、徹底的な省エネ、再生エネルギーの増加、原子力の維持が基本。特に、他国と比較して割高な産業用電力料金の引き下げが課題。2050年は、80%の削減を目標としているが、これはビジョンである。イノベーションが鍵。例えば、CCS(二酸化炭素の回収、貯留)、水素技術など。まとめとしては、費用対効果の高い対策を推進することが重要と考える。

(質疑応答)

――「世界の人口が今後増え続けるとますます温暖化は進むのではないか?」

途上国も豊かになると出生率は下がる。中国もかなり出生率が低下。途上国のエネルギーアクセス改善にあたっては場合によって送電線ではなく、分散型の太陽エネルギーを活用した方がよい場合もあろう。

――「海面上昇で島が沈む危険性は?」

特に、小さな島々、ツバルやモルディブなどは深刻。対策には、温室効果ガスの削減だけでなく、適応策、すなわち、堤防の増強などを進めることが重要。

――「日本の原子力の再稼働には反対」

現実的に原発の発電量を再生エネルギーでカバーすることは難しく、LNGや石炭でカバーしている。もちろん、安全性は大事でこれが確認されることが基本だが、自分は日本の状況では、原発の再稼働が必要と考えている。

――「COPで化石賞を2年連続で与えられているが、自分は、日本はもっと原子力を進めるべきと考える」

化石賞は環境NGOが判断しているもので、自分は、それほど不名誉なものとは考えていない。日本は原発の再稼働に関し、安全性について慎重に検討し、国民世論にも十分配慮して進めている。他方、中国では、どんどん原発の建設が進んでいることにも注目すべきである。

 

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