関東だより:山登り、滋賀県からヒマラヤへ

関東圏の滋賀県人会の会員の皆さまより、近況報告、趣味、旅行、日本社会や世界への提言、随想など、バラエティー豊かな投稿記事を募集し、東京県人会のHP「いま滋賀」に掲載します。
今回は、里山・山岳写真家 堀口 裕央様からのご寄稿です。
山登り・滋賀県からヒマラヤへ
里山・山岳写真家
堀口 裕央
山登り、写真は定年後の60歳から始め、里山、山岳写真家の原点は滋賀県にあります。大阪の山岳会に所属、入会当初、毎週のように滋賀県、比良山系の武奈が岳、釈迦岳、堂満岳を琵琶湖側、安曇川側から登り、四季を通じトレーニング。特に世界一、二の豪雪地帯での遭難対策(ビバーク、ラッセル、滑落等)に励みました。会は山を登ることが主体で撮影は同行者の迷惑になるので、単独の山行となりました。琵琶湖バレースキー場下で雪だまりにはまりラッセルをするも脱出することが出来ず体力、気力、体温が失われ焦る体験。やっと抜け出しスキーヤーが楽しく滑っているゲレンデに出た時の安堵感は今でも忘れられません。
里山との関わりは現役時代に農業関係の仕事に従事し地方に出かけることが多い中で始まり、近畿郵政局の郵政事業地域振興の第1回の講演会を朽木村(現:高島市)で行いました。役場の広報車が村内を巡回して人を集めてくれた思い出深い講演会でした。
兵庫県美方郡新温泉町の特別観光大使、ネパール大使館との付き合い、共に山と写真を通じての関係です。新温泉町は登山家・加藤文太郎の故郷、その隣町に植村直己の故郷もあり、山をやるものには魅力ある地です。山岳写真の足場として村人と懇意にしているうちに「こんなに多くの人を連れてきて町を紹介してくれる人をこれまで見たことがない」と、町役場の担当者に紹介されて特別観光大使を拝命しました。以来、町興しのお手伝いをしています。
ネパールとの関係は、10年来の山岳・写真の相棒、京都在住のネパール人JR氏(ネパール政府観光省公認・1級山岳ガイド)からネパールの山の風景だけでなく、人の暮らすヒマラヤを撮ってほしいと頼まれたことから始まりました。ネパールの大統領が昨年天皇陛下の即位の礼で訪日された時、大使館の歓迎レセプションに招待されました。写真だけでなく、なにか貢献できればと思い、懇意にしている農業法人にネパールからの人材受け入れの認可を受け具体的に動き始めた途端コロナ禍。一刻も早く世界の大混乱が収まり、再び動ける日を待ち望んでいます。
神々しい世界・降臨
2015年10月25日。撮影場所・ネパール、レンジョパス(5360m)。撮影地であるレンジョパスにはルクラ空港(2840m)から高度順応しながら歩いて5日。レンジョパス下400mにテントを張り朝9時から登りだし1時間程で着。夕方5時頃から夕日で真っ赤に染まった山頂に笠雲、雲海、満月まで加勢してくれた。世界に8千mを超す峰は14峰、そのうちの3峰、エヴェレスト(8848m)、ローツエ(8516m)、マカルー(8485m)が。ありえない光景、まるで神降臨。鳥肌が立つもシャッターを切りまくる。テントに戻っても寝られなかった1枚。千年に1度の奇跡といわれる。
今後も、写真を通じ、町興しの一助になればとシャッターを切っていきたいと思います。
堀口さん
HP:堀口裕央 | Yasuo Horiguchi | Photographer