一般社団法人東京滋賀県人会

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第5回 AKINDO塾 レポート

公開日 : 2018.4.5
第5回 AKINDO塾 レポート

 

東京滋賀県人会では、会員同士の人脈形成、ネットワークの構築、知識の向上を支援する目的で、2016年秋以降『AKINDO塾』を定期的に開催しています。 この3月6日(火)に第5回の『AKINDO塾』を開催いたしました。今回の講師は、田中 正明 氏で、現在PwC(プライスウォーターハウスクーパース)International の Senior Global Advisor をなさっています。

 

 

現在の国内外の金融の世界におけるアップツーデートなトピックスについて多岐にわたるお話が 聞けるとあって、東京滋賀県人会の会員の他にも多くの方がお越しになりました。70名近い参加者が、田中氏による大変興味深いお話を聞く機会を得ることが出来ました。講演終了後も多くの方が挙手され、多くのQ&Aがかわされました。

 

 

 

講演要旨は以下の通りです。

滋賀県近江八幡市に生まれ、日野町、草津市で育ち、膳所高の出身。草津の実家のお隣で膳所高先輩の 本田さんからAkindo塾での講演を頼まれた。子供の頃から、国のために役に立つことをしたい、また、世界を見たい、世界で活躍できる人間になりたいと思っていた。
三菱銀行に入ってから、米国のミシガン大学法科大学院を卒業し、経営企画や大企業営業部門を中心に歩んだ後、ユニオンバンクを頭取として経営するなど海外での経験も積んだ。

 

今、日本のお金の流れを考えると、巨額の資金が殆どリターンのないまま銀行に眠っている。普通預金の金利は、0.001%、金融機関の収益は、大手金融グループ合計で、2013年度の3兆円から、2017年度は、2.5兆円へと低下傾向。過去20年間で、米国の家計金融資産は3倍以上、日本では1.5倍。一言で言うと、我が国全体の資金の流れは、国富形成や個人の資産形成に役立っていない。こうしたデット・チェーンをインベストメント・チェーンに変えて行かなければならない。

 

成長が予想される金融事業者は、資産運用業者(運用の高度化とスチュワードシップ活動)、投資ファンド(企業に対するエンゲージメント、リスクマネー供給)、フィンテック企業(金融事業のアンバンドル化と技術を使った低コスト化)。従来型単純商業銀行モデルは、モデルの陳腐化、ユーティリティ化のため、縮小が予想される。最近の大手金融グループにおける3割ぐらいの人員や業務の削減は、こうしたトレンドを反映したもの。

 

 

仮想通貨については、先般、流出問題が生じたが、これは杜撰な顧客資産管理のため。ブロックチェーンそのものは、しっかりした先進的技術であり、この活用により、従来の資金管理コストを大幅に下げることができる。
中国のアリペイを訪問したことがあるが、フィンテックの活用により、送金などのコストが安くなっていることに加え、大きなパネルで、中国全土の資金の流れを瞬間的に把握できるシステムになっており、日本より、遥かに進んでいる。日本の金融業界も、既存の顧客基盤を生かした業務改革を行い、インベストメント・チェーンへの積極参加をし、内外のフィンテック企業と連携、規模に拘らない「質の経営」への転換を進めることにより、国富形成、個人の資産形成に寄与しうると考えている。

 

国全体の財政赤字も大きな問題。金利が上昇すると、今でも総予算の1割を占める利払費負担は膨大なものとなる。
コーポレートガバナンスに関して言うと、元日立会長で現在は東京電力会長の川村氏の言われるとおり、社外取締役の最大の任務は、有能な社長を選任し、ダメな社長を解任すること。モルガン・スタンレー取締役のとき、社外取締役が毎年3人ぐらいの社長候補を厳しくチェックした、その候補も年によって順番が入れ替わる。こうした仕組みを導入すべきであろう。

 

最後に、膳所高の時に学んだ「遵義力行(じゅんぎりょっこう)」の精神、これまでの人生でいつも心に留めて歩んできた。滋賀県が大好きであり、最後の時は滋賀県で迎えたい。

 

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